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世界が注目する若き政治家④

鈴木邦和(29):東京大学工学部卒。在学中の東大ドリームネット(在学生と卒業生の600人規模の交流会開催等を行う大学公認団体)代表、震災復興支援団体”UT-AId”創設(のちに東京大学総長賞団体受賞)、投票マッチングサービス「日本政治.com」立ち上げ(世界的経済誌Forbesが選ぶ30人の30歳以下若手リーダー"30 Under 30 in Asia"選出)を経て、2016年に東京都議会議員に選出(男性最年少)。将棋四段(高校時代に三度全国大会に出場)。World Economic Forum(ダボス会議)Global Shapersメンバー。

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野村:僕は東京に来てからずっと政治家志望と言ってきましたが、自分の中における政治が何なのかが分からなくなっています(笑)。

聞き方が難しいというか、いい聞き方が思い浮かばないのですが、選挙で感じたことをお聞かせください。

 

鈴木:本当に貴重な経験でした。当時の情勢は都民ファーストの会に追い風ではあったものの、ともかく必死に取り組みました。やはり政治家は選挙で一番磨かれます。80人もの方がボランティアで手伝ってくださり、多くの人の想いを生身で感じた選挙戦でした。

当選翌朝、駅前でご挨拶させて頂いていた際、対抗馬だった前職で現武蔵野市長の松下さんが通り掛かり、お互いに言葉もなく深々と一礼を交わしました。このとき、松下さんの4年間の都議としての活動と、松下さんに投票された22,000人の想いの重さを感じ、身も心も震えました。

ボランティアの方も、勝どきから毎朝6:30に武蔵野市までお越し下さり、その足で築地に出社されていかれたり、選挙期間はまとめて有休を取って応援してくださったり。当選の瞬間には両親が事務所にいたのですが、父が、当選したこと自体ではなく、多くの方がこれだけ応援してくれていたことに感極まって涙を流していました。政治家は誰に支援されたかで決まると思います。僕を応援してくださった方は皆さん、ピュアに政治を変えてほしいと願って応援してくださっていました。そこに対して忠実であろうという気持ちが強いです。

野村:もう、こういう話は深掘るも何もないですね。この話で立候補を志す人が増えたら本当にいいと思います。この流れで、今後の展望をお聞かせください。

 

鈴木:モスクワやパリのように、政治もテクノロジーで変わっていく兆しが見え始めています。政治家も身体は一つなので、対面で会える人数は限られている。だからこそ、テクノロジーが鍵となるはずです。「テクノロジーで政治を変える」というのは、一貫して自分のメインテーマです。

 

野村:方向性、原則論は正しい反面、多くの人が、何から手を付けていいかわかっていないのが現状だとも思います。本当は、エイヤと着手してしまえば具体的な課題が見えつつも前進していくのでしょうが、公費なのでそういう使い方も簡単ではない。そういう課題意識からも、World Economic Forum(世界経済フォーラム、日本での通称ダボス会議)第四次産業革命センターでのアジェンダ設計に携わってきました。行政とテクノロジーという概念を、いわば脱構築的に捉え直して、新たなモデルというか思考の枠組みを日本から打ち出していく。

鈴木:僕がForbes 30 Under 30 in Asia(世界的経済誌Forbesが選ぶ30人の30歳以下の若手リーダー)に選出された背景には、テクノロジーでアジアにおける民主主義をよりよい形で機能させていける可能性への期待がありました。海外のモデルを日本に転用するだけではなく、新しいモデルを考案する必要があると感じており、先日掲げたポリテック研究所構想もその一環です。ビジョンが固まれば、人やお金はついてきてくれると信じています。

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野村:よりパーソナルなゴールはありますか?自身が描く人間像というか。

鈴木:うーん…。実はあまり無いんですよね。

 

野村:なるほど。質問しておいてアレなんですが、こうあるべきだという規範意識は、本当は無い方がいいと感じています。僕も生真面目なのでそういった規範意識を複数かつ長期に及び有していましたが、やはり窮屈で苦しいです。寧ろ、ビジネスや政治といった分野で具体的なビジョンが少しでも強く持てるならそれがいいと感じています。

 

鈴木:その通りだと思います。誰しも、自分のアイデンティティを定義できないうちは辛いのだと思います。ロールモデルに救いを求めて、無理をしながらでもそこに近付こうとしていく。

 

野村:そういったものから解放されると、形や立場にこだわらなくなってくるのだと思います。どういった在り方でも、がんばる、みたいな。

 

鈴木:やはり、自分がチャレンジしてきた中で、成果がでた、認めてもらえた、という経験に支えられています。

 

野村:俯瞰してみると意外に似通っていることに気づいたりもする。

 

鈴木:大学時代には戻りたくないですね(笑)。僕も無理して背伸びしていたところはあって、辛かった。

 

野村:完全に同意です(笑)。でも、ああいう期間があったから今の腹落ち感はあるのだとも思います。成功体験という言葉はあまり好きではないのですが、そういうものが徐々にでも実感できるような社会設計を進めていけるといいと感じています。

 

鈴木:この話の流れで考えたのは、人じゃなく事に焦点を当てることの重要性です。事に焦点を当てている人は、こういった点で不要に悩まず進んでいけます。

 

野村:よく分かります。プログラマーがITベンチャー始めると、プロダクトやサービスとユーザー数という具体で議論・検討できる。

 

鈴木:本当にそのとおり。その方がいい仕事できる気がします。

 

野村:政治におけるテクノロジーの実用化が進んでいくと、言葉を選ばず言えば、民主主義において議論されるべき課題のグラデーションがより鮮明に見えてくるのではないかと思います。

 

鈴木:まさに。合意形成が適切に短縮化・簡素化され、政治参加の障壁が下がり、頻度も上がり、参加への実感値が上がって更に参加が促されていく、そんな良循環を作っていけたらと考えています。

 

野村:本日はどうもありがとうございました。【了】冒頭に戻る

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